平成26年度 東山会会報

第13回東山会イブニングサロン開催報告


東山会 庶務理事
名古屋大学大学院工学研究科
機械理工学専攻 教授

巨 陽

第13回東山会イブニングサロン開催報告
  

2014年7月18日(金)、名古屋大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー3階ベンチャーホールに於いて、第13回東山会イブニングサロンが開催されました。講師には独立行政法人 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター 運営企画ユニット長の藤田敬氏(昭和59年機械科卒、43回生)をお招きし、「人に優しい重粒子線がん治療」と題したご講演を頂きました。
 東山会 杉田雄二会長によるご挨拶、庶務理事による講師の紹介に引き続き、藤田氏より、三菱電機ご就職後、放医研へご出向・ご転職などこれまでの経緯と東山会関西支部との関わりをお話しいただいた後、以下の主題でご講演されました。
◆がんと放射線について
◆重粒子線がん治療の紹介
◆次世代重粒子治療システムの開発
◆今後について
「がんと放射線について」では、がんの現状、放射線治療の歴史から重粒子線治療の特長を紹介されました。「重粒子線がん治療の紹介」では、治療開発の背景から治療装置(HIMAC)の説明、治療実績・治療症例の紹介を行われ、治療の普及に向けた小型化や海外の開発状況を説明されました。「次世代重粒子治療システムの開発」では、実際に治療を行う新治療研究棟の紹介、これまで実施されてきた拡大ビーム照射を更に人に優しくするための3D高速スキャニング照射法の開発、患者位置決めシステム、呼吸同期Rescanning法の開発状況などを説明され、世界初の体幹部呼吸同期スキャニング照射治療の実現に向けて取り組むことを報告されました。加えて、重粒子線回転ガントリーの開発についても、超伝導電磁石の採用に係る開発試験状況などを説明されました。「今後について」では、更なる短期化を含めたアダプティブ治療や施設の更なる小型化、低価格化(体育館から治療室サイズへ)が目標であることを紹介されました。
 43名の参加者は終始熱心に耳を傾け、講演終了後の質疑応答では、「重粒子線の適応について(不得手な部位とその理由・陽子線とのすみ分け等)」、「従来の放射線との比較(副作用について)」、「放医研の特長、職員の種類、藤田氏の職員としての役割等」など、数多くの質問が出され、その一つ一つにわかりやすくご回答頂きました。
 最後に、当日ご出席いただいた、藤田氏の恩師である本学名誉教授の太田博先生への御礼と今年4月に亡くなられた藤田氏の同期、芹澤祐司様に本講演を捧げることを述べ、ご講演を締め括られました。今回のイブニングサロンには、藤田氏の同期(昭和59年卒)の会員の皆様が多数ご参加くださいましたので、様々な思いが胸に去来したことと思います。
 閉会に当たり、東山会副会長 新美智秀教授よりご挨拶があり、藤田氏への労いの言葉とともに、イブニングサロンは「先輩方の活躍を若い学生さんに見てもらうための企画」として出発したとのお話を頂きました。今後、学内でももっとアピールしていきたいと考えております。
次回イブニングサロンは以下の通り予定しています。奮ってご参加のほど宜しくお願い致します。

開催日:2014年12月5日(金)18:00〜20:15
会 場:名古屋大学 ベンチャービジネスラボラトリー3階ベンチャーホール
内 容:
講演1「大学発ベンチャーの難題と遭遇するカルチャーショック」
メジェップ(株)代表取締役、名古屋大学名誉教授 山口 勝美 氏
(昭和35年機械科卒、19回生)
(概要)本講演では、ユニークな研究をしたいという一途な考えから大学で始めた二つの研究をまず紹介する。それを基に思いかけず始めてしまったベンチャーの10年を超える未知で、新鮮で、苦難の異体験、そこで気付くプロフェッサーとアントレプレーナーの間に立ち塞がるカルチャーの違いを具体例を挙げてお話する。
講演2「エネルギ産業における特殊鋼製品の開発動向ともの作り」
大同特殊鋼(株)加工・成形プロセス研究室 室長 藤原 正尚 氏
(平成12年機械科卒、59回生)
(概要)発電設備を中心にエネルギ産業機器の現状と開発動向を述べ、主要部品に用いられる特殊鋼材料・製品の開発状況を説明する。また、特殊鋼製品のもの作り技術についても言及し、特に鍛造・切削における技術開発の動向と今後の方向性について紹介する。

講師:藤田 敬 氏
(昭和59年機械科卒、43回生)
独立行政法人 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター
運営企画ユニット長


熱心に聴き入る参加者の皆様 ワインとサンドイッチと共に、リラックスした雰囲気の中、 ご聴講いただきました。

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